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リアリズム(実在論)

世界は人間の認識から独立して実在するという立場

認識論実在客観性

この思想とは

外的世界は人間の心や認識から独立して客観的に存在するとする哲学的立場。

【生まれた背景】

古代ギリシアのアリストテレスが、師プラトンのイデア論を批判し、個物こそ真に実在すると論じたことが出発点となった。近代では観念論や懐疑論に対抗する形で科学的実在論が発展し、現代の分析哲学でも中心的な論争テーマであり続けている。

【主張の内容】

物理的対象や自然法則は、人間がそれを認識するか否かにかかわらず存在する。科学理論が成功するのは、それが実在の構造を正しく反映しているからだとする。素朴実在論から批判的実在論、構造的実在論まで多様なバリエーションがある。

【日常での例】

「誰も見ていなくても月はそこにある」と感じるとき、私たちは素朴な実在論的直観に立っている。

【批判と限界】

認識を介さない「ありのままの世界」にどうアクセスできるのかという根本的問題がある。カントは物自体は認識不可能だと論じ、クワインは理論負荷性を指摘した。

さらに深く

【思想の深層】

実在論(リアリズム)の哲学的中心問いは「われわれの認識から独立した世界が存在するか」にある。科学的実在論は「科学理論が経験的に成功するのは、それが世界の実際の構造を近似的に正確に表しているからだ」と論じる。しかし歴史を見ると、過去には成功していたが現在は廃棄された理論(燃素説・エーテル)があり(悲観的帰納法)、これが実在論への反論となる。構造的実在論(ワーラル)は「物理理論の変化を通じて保存されるのは存在する実体ではなく数学的構造だ」として、存在よりも構造の実在を主張する。内在的実在論(パトナム)は「客観的実在は概念的枠組みから独立してはいない」として、素朴実在論と観念論の中間を探る。日常的直観レベルでは「誰も見ていなくても月はある」という素朴実在論(common-sense realism)が強い基盤を持つ。アリストテレスの個物実在論(普遍ではなく個々のソクラテスが実在する)対プラトンのイデア論(普遍こそが最も実在する)という対立は中世のスコラ哲学での「普遍論争」(実念論vs唯名論)として継続した。

【歴史的展開】

アリストテレスの個物実在論→中世普遍論争(アンセルムス・アベラール・オッカム)→近代の観念論対実在論の構図(ロック・バークリー・カント)→19世紀末の科学的実在論論争→20世紀分析哲学での存在論(クワインの存在論的コミットメント・クリプキの可能世界意味論)。

【現代社会との接点】

量子力学の解釈(コペンハーゲン解釈vs多世界解釈vsパイロット波理論)はミクロ世界の実在論的問いを先鋭化する。「観測されるまで電子はどこにあるのか」。「シミュレーション仮説」(われわれは高度な計算機シミュレーション内に存在する)は実在論的問いの極端な形として議論される。

【さらに学ぶために】

アリストテレス『形而上学』(岩崎勉訳、講談社学術文庫)は実在論の原典。パトナム『理性・真理・歴史』(野本和幸ほか訳、法政大学出版局)は内在的実在論の展開。野矢茂樹『哲学の謎』(講談社現代新書)は実在論の問いへの日本語の明快な入門。

代表人物

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