形
『形而上学』
けいじじょうがく
アリストテレス·古代
アリストテレスが存在・実体・原因を体系的に論じた哲学の根本テキスト
哲学
この著作について
アリストテレスが存在そのものを主題とし、後に「第一哲学」と呼ばれる領域を切り開いた哲学史の根本書。
【内容】
「すべての人間は、生まれつき知ることを欲する」という一文で幕を開け、「あるとはどういうことか」を問い続ける。質料・形相・作用・目的という四原因論、可能態と現実態、実体(ウーシア)の分析を通して、変化する世界の根底にある構造を探る。最終巻では、みずからは動かずに万物を動かす「不動の動者」としての神的知性が論じられ、自然学から神学へと議論が一気に押し上げられる。
【影響と意義】
編者アンドロニコスが『自然学』の「後に置かれた書」として編んだことから「メタフィジクス」という語が生まれ、以後の西洋哲学における形而上学の枠組みそのものとなった。トマス・アクィナスのスコラ哲学、近世の実体論、さらにはハイデガーの存在論批判まで、本書との対話なしには成立しない。
【なぜ今読むか】
AIや脳科学が「知能とは何か」を問い直す時代に、「知ることへの欲求は人間の本性だ」と言い切った最古の宣言は、学ぶという営みそのものの価値を静かに支え直してくれる。