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理性・真理・歴史

りせい しんり れきし

ヒラリー・パトナム·現代

「水槽の中の脳」の思考実験を通じて実在論を現代的に論じたパトナムの主著

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哲学

この著作について

アメリカの分析哲学者ヒラリー・パトナムが、かつて自らが唱えた科学的実在論を大胆に修正し、「内在的実在論」と呼ばれる立場を打ち出した転換期の著作。

【内容】

冒頭で提示される「水槽の中の脳」という思考実験が本書を有名にした。体は水槽で培養されており、脳はコンピューターにつながれて偽の感覚入力を受け続けているだけだとしたら、私たちはそれを内側から知り得るか。パトナムは言語と指示の理論を駆使して、「私は水槽の中の脳である」という発話そのものが自己矛盾となることを示す。続いて、真理を「世界との一対一対応」と見る形而上学的実在論と、あらゆる真理を相対化する文化相対主義の双方を批判し、「理想化された合理的受容可能性」として真理を捉える内在的実在論が提示される。道徳判断の客観性、理性の擁護、合理性と歴史の関係も同じ枠組みで論じられる。

【影響と意義】

ローティとの論争を通じて、分析哲学における実在論論争の座標軸を作り直し、認識論・科学哲学・言語哲学の接点を刷新した。人工知能の意味論、倫理学の客観性の議論、宗教認識論にも広く参照される現代分析哲学の中心的書物である。

【なぜ今読むか】

AIが言葉を扱う時代、「ある発話が世界に触れているとはどういうことか」という問いは、技術と哲学の双方で生き生きとしている。懐疑論に対する現代的な応答を、鮮烈な思考実験とともに体験できる一冊である。

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