哲
『哲学の謎』
てつがくの なぞ
野矢茂樹《のやしげき》·現代
哲学の根本問題を平明な言葉で考える野矢茂樹《のやしげき》の日本語名著
哲学
この著作について
ウィトゲンシュタイン研究を専門とする哲学者・野矢茂樹《のやしげき》が、哲学の根本問題を日常の感覚から立ち上げ直した読みやすい名著。
【内容】
「知る」「意味する」「語り得ぬもの」「時間」「自己」「他者」「記憶」「自由」「死」といった大問題が、それぞれ短い章に振り分けられて論じられる。各章は「地下鉄の中でふと考えたこと」や「子供にされた素朴な質問」から出発し、著者自身が迷いながら考え抜く文体で進行する。正解を教える教科書的な記述は避けられ、読者は著者と一緒に困惑し、戸惑い、ときに小さな光を見つける体験をすることになる。後半では「独我論」と「他者の心」の議論、時間の過ぎ方についての思索など、野矢自身の研究課題と響き合うテーマが深められていく。
【影響と意義】
中公新書のロングセラーとして、日本語で書かれた最も広く読まれた哲学入門書の一つとなった。著者の後続作『哲学・航海日誌』『論理学』などへの入口として機能し、大学の哲学概論・高校の倫理の副読本としても繰り返し採用されている。
【なぜ今読むか】
哲学書に興味はあるが、何から手に取るか迷う人にとって、ここで扱われる問いは「自分もちょっと考えたことがある」という身近さを持つ。自分の日常的な疑問を哲学の語彙に翻訳する練習として、最良の一冊である。