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共産主義

私有財産を廃止し、階級なき社会を目指す思想

政治哲学マルクス平等

この思想とは

生産手段の共同所有に基づく階級なき社会の実現を目指す政治・経済思想。

【生まれた背景】

19世紀の産業革命によって資本家と労働者の階級対立が激化する中、マルクスとエンゲルスが『共産党宣言』(1848年)と『資本論』で体系化した。初期社会主義者(サン=シモン、フーリエ、オーウェン)を「空想的」と批判し「科学的社会主義」を標榜した。

【主張の内容】

資本主義は労働者の疎外と搾取を構造的に生み出す。剰余価値の搾取理論によれば、労働者は自分の労働が生み出す価値以下の賃金しか受け取れない。歴史は階級闘争の歴史であり、資本主義の矛盾はプロレタリア革命によって克服される。共産主義社会では「各人はその能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」。国家は階級対立の消滅とともに死滅する。レーニンは前衛党論を展開し、毛沢東は農民革命論を加えた。

【日常での例】

「生産手段を皆で共有すれば搾取はなくなる」という発想が共産主義的。

【批判と限界】

20世紀の実験は全体主義・計画経済の失敗を招き、人間の自由の抑圧が深刻な問題となった。

さらに深く

【思想の深層】

共産主義の哲学的核心はマルクスの「疎外論」にある。資本主義的生産において労働者は自分の労働の産物から疎外され(製品は商品として売られ自分のものではない)、労働の活動から疎外され(労働は自己実現ではなく苦役となる)、他の人間から疎外され(競争関係が支配する)、類的本質(人間が本来もつ自由な意識的活動)から疎外される。「剰余価値」論は資本主義の搾取を経済学的に解明する試みである。労働者は一日の労働時間のうち自分の再生産に必要な分だけ働けば足りるが、残りの「剰余労働」を無償で資本家に提供させられる。共産主義社会では疎外が克服され、「各人はその能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」自由な共同体が実現する。マルクスはこれを「社会的人間」の本来の姿の回復とした。

【歴史的展開】

1848年の『共産党宣言』(マルクス・エンゲルス)が現代共産主義運動の出発点。1917年のロシア革命でレーニンが前衛党論に基づき権力を掌握、ソ連が成立した。毛沢東は農民革命論、ホーチミンは民族解放運動と結合させた。スターリン体制下の粛清・収容所(グラーグ)・計画経済の失敗が共産主義の評判を傷つけた。1989年のベルリンの壁崩壊・1991年のソ連解体が一つの歴史的終幕となったが、中国共産党体制は独自の路線で継続している。

【現代社会との接点】

ピケティ『21世紀の資本』が示した富の集中はマルクスの資本蓄積論の現代的確認として注目された。格差拡大・労働の不安定化(ギグエコノミー)・気候変動への資本主義的対応の限界という問題意識から、若い世代での社会主義・共産主義への関心が欧米で再浮上している。

【さらに学ぶために】

マルクス・エンゲルス『共産党宣言』(大内兵衛・向坂逸郎訳、岩波文庫)は薄くて力強い出発点。マルクス『経済学・哲学草稿』(城塚登・田中吉六訳、岩波文庫)で疎外論の原型を確認できる。ハンナ・アーレント『全体主義の起源』(大久保和郎訳、みすず書房)は共産主義体制の歴史的分析として重要。

代表人物

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