『共産党宣言』
きょうさんとう せんげん
エンゲルス·近代
「万国のプロレタリア、団結せよ!」で知られる革命的パンフレット
この著作について
マルクスとエンゲルスが1848年に共産主義者同盟の綱領として書いた、近代史上もっとも影響力のある政治文書の一つ。
【内容】
「いまや一つの妖怪がヨーロッパを徘徊している。共産主義という妖怪が」という劇的な一節で始まる。続く第1章「ブルジョワとプロレタリア」では、「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」と宣言され、資本主義が生み出す新しい階級対立が分析される。資本主義は世界を変革する力を持つ一方で、自らの墓堀人となるプロレタリアートを生み出す。私有財産の廃止と生産手段の公有化が主張され、「万国の労働者よ、団結せよ」という有名な呼びかけで結ばれる。
【影響と意義】
世界でもっとも多く読まれた政治文書の一つとされ、19世紀後半から20世紀にかけての労働運動と革命運動の理論的出発点となった。ロシア革命から中国革命、東欧・アジア・ラテンアメリカに至る歴史的激動の背後に、常にこの小冊子が存在し続けた。
【なぜ今読むか】
わずか数十ページで、資本主義社会の動態を鮮やかに描き出す筆致は、今読んでも迫力がある。賛成でも反対でも、現代の格差や労働を語るときの共通の出発点として、一度は目を通しておきたい古典。
さらに深く
【内容のあらまし】
冒頭の一句「いまや一つの妖怪がヨーロッパを徘徊している。共産主義という妖怪が」が宣言の調子を決める。あらゆる旧勢力がこの妖怪退治のために結束していると皮肉りつつ、共産主義者は自分たちの立場を公然と表明する時が来たと告げる。本文は四章からなる。
第1章「ブルジョワとプロレタリア」は、「これまでのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という有名な一文で始まる。ブルジョワジーは封建社会を打倒した革命的階級として高く評価される。世界市場を作り出し、生産諸力を爆発的に発展させ、すべての民族を文明に巻き込み、伝統的な人間関係を「現金支払い」の関係へと変えた。だが同時に、自らを葬る墓掘人すなわちプロレタリアートを生み出した。周期的恐慌は資本主義が自分の生み出した富を持て余すまでに成熟したことを示す。
第2章「プロレタリアと共産主義者」は綱領的な章だ。共産主義者は労働者階級全体の利益を代表する党派であり、目標は階級としてのプロレタリアートの形成、ブルジョワ支配の打倒、生産手段の社会化である。ブルジョワ的所有・家族・国家・宗教・教育への批判が並び、十項目の具体的方策が掲げられる。累進課税、相続権廃止、信用と運輸の国家集中、無償の公教育などである。
第3章は「社会主義的および共産主義的文献」と題され、反動的社会主義、保守的・ブルジョワ的社会主義、批判的・空想的社会主義が分類批判される。サン=シモン、フーリエ、オーウェンといった先行者への評価と限界づけがここで行われる。第4章は短く、当時のヨーロッパ各国における具体的な革命運動への態度が示され、最後に「万国の労働者よ、団結せよ」という呼びかけで全編が閉じられる。

