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21世紀の資本

にじゅういちせいきの しほん

ピケティ·現代

300年のデータで資本主義の不平等を実証した現代経済学の話題作

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経済

この著作について

フランスの経済学者トマ・ピケティが2013年に公刊した、膨大なデータで資本主義における格差拡大のメカニズムを実証した現代経済学の話題作。

【内容】

18世紀以降約300年にわたる英・仏・米・日など各国の税務・相続データを集積し、資本収益率(r)が経済成長率(g)を上回る傾向が長期的に存在することを実証する。この「r>g」という不等式が持続するかぎり、相続された富は労働による所得よりも速く増え、富の集中は自然に進行する、というのが中心の診断である。19世紀的な世襲富裕社会が21世紀に再現されうると警告し、対策としてグローバルな累進資本課税を提唱する。

【影響と意義】

700ページ以上の経済学書としては異例の世界的ベストセラーとなり、格差問題を世界的な議論の中心テーマに押し上げた。マルクス資本論との対比で読まれることも多く、批判と追試を含めて、格差の定量分析という分野を活性化した。

【なぜ今読むか】

「r>g」というシンプルな不等式で格差のメカニズムを説明する明快さが最大の魅力。バルザックやオースティンの小説を引用しながら歴史的な格差の実態を描く手法も独特で、経済書と文学の橋渡しにもなる。

さらに深く

【内容のあらまし】

本書はピケティが共同研究者たちと十年以上かけて掘り起こした、英・仏・米・日など主要国の税務記録と相続記録に基づく長期データを土台にしている。冒頭でピケティは、格差は感情で語る前にまず数字で見るべきだと宣言し、18世紀から現代までの所得分布と富の分布を、グラフを使って淡々と提示していく。

話は19世紀のヨーロッパから始まる。当時の社会では、上位1パーセントが国富の大半を握り、相続された土地と債券からの収入で生きる「ランティエ階級」が支配していた。バルザックやオースティンの小説に出てくる、年収ではなく「資産から得られる利息」で身分が決まる世界である。ところが二度の世界大戦と大恐慌によって、富の蓄積は破壊され、累進課税と福祉国家の発達もあいまって、20世紀半ばには驚くほど平等な社会が一時的に成立した、と説明される。

中盤の核心が、本書を有名にした不等式「r>g」である。資本収益率rは長期的に4〜5パーセント前後で推移し、経済成長率gはせいぜい1〜2パーセントにとどまる。この差が持続するかぎり、すでに資本を持っている者は、汗を流して働く者よりも速く豊かになり続ける。やがて相続された富が新しく稼がれた富を上回り、社会は再び世襲的な性格を取り戻していく。1980年代以降の各国データは、まさにこの19世紀的状況への回帰を示しているとされる。

後半でピケティは政策を論じる。一国だけで資本に課税すると資本は逃げてしまうため、所得・相続・資産にかかるグローバルな累進課税が必要だと主張する。財政透明性の国際協力なしに格差是正はできないという結論は、楽観的すぎると批判もされた。それでも、19世紀の小説と21世紀の税務データを同じ画面に並べて議論する筆致は独特で、経済学を歴史と文学の言葉で語り直した試みとして読み応えが続く。

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