『ギリシア人の悲劇時代における哲学』
ぎりしあじんのひげきじだいにおけるてつがく
フリードリヒ・ニーチェ·近代
ソクラテス以前の哲学者たちを悲劇的精神の体現として描く未完稿
この著作について
フリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche)が1873年に書き進めながら未完に終わった論考(原題『Die Philosophie im tragischen Zeitalter der Griechen』)。バーゼル大学古典文献学教授時代、『悲劇の誕生』(1872)刊行直後に執筆されたニーチェ青年期の重要な思想的地図である。
【内容】
本書は前6世紀から前5世紀、ソクラテス以前のギリシア哲学者たち——タレス、アナクシマンドロス、アナクシメネス、ピタゴラス、ヘラクレイトス、パルメニデス、アナクサゴラス、エンペドクレス、デモクリトス——を個別に扱う肖像集として構想されている。ニーチェは彼らを、思考と生を分離しない「悲劇時代」の最後の哲学者たちとして描き、とりわけヘラクレイトスの生成の哲学と、エンペドクレスの預言者的形象を称揚する。本書で展開されるヘラクレイトス解釈は、以後のニーチェ『悦ばしき知識』『ツァラトゥストラはこう語った』における永遠回帰思想の素材を先取りしている。ソクラテス・プラトン以降の「書斎哲学」への批判的視座が、すでにここで明瞭に成立している。
【影響と意義】
ハイデガー『ヘラクレイトス』『パルメニデス』、ドゥルーズ『ニーチェと哲学』、現代のピエール・アド古代哲学研究に至るまで、ソクラテス以前の哲学の再評価の重要な出発点となった。『悲劇の誕生』を読む上での思想的文脈の明示という意味でも、ニーチェ研究の必読文献である。
【なぜ今読むか】
AIが情報処理の主役となる時代に、「思考と生の一致」というギリシア的哲学観は、知の意味を根本から問い直す素材となる。
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