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ニーチェと哲学

にーちぇとてつがく

ジル・ドゥルーズ·現代

永遠回帰を差異と肯定の哲学として読み替えたドゥルーズのニーチェ論

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哲学

この著作について

ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)が1962年に刊行したニーチェ研究の主著(原題『Nietzsche et la philosophie』)。戦後フランスにおけるニーチェ受容を決定づけ、六八年以降のフランス現代思想全般の方向を根本から変えた記念碑的著作である。

【内容】

本書は全五章からなる。第一章「悲劇」はディオニュソス的肯定を哲学の出発点として据え直し、ソクラテスとの決別を描く。第二章「能動と反動」では、力を質と量の観点から分析し、能動的な力と反動的な力、肯定と否定の意志という対立軸を提示する。第三章「批判」はカントの超越論哲学を内在性の哲学へと書き換える試みを展開する。第四章「永遠回帰から超人へ」では、永遠回帰を循環の思想ではなく差異の選別的反復として読み替え、同一性の哲学から差異の哲学への決定的転換を図る。第五章「ディオニュソスから悲劇へ」は全体の結論として、ニーチェ哲学を反ヘーゲル的な肯定の哲学として総括する。ヘーゲル弁証法の否定を媒介とする止揚に対して、ニーチェの肯定は媒介を経由しない直接的な力の拡張として描かれる。

【影響と意義】

本書はフーコーデリダ、クロソウスキー、リオタールら同時代のフランス現代思想家のニーチェ解釈の共通参照点となった。ドゥルーズ自身の差異と反復意味の論理学アンチ・オイディプスへと連なる内在性の哲学の理論的基盤をここで形成した。現代の反ヘーゲル的思想、肯定の倫理学、強度論の起点として読み継がれている。

【なぜ今読むか】

批判と否定が政治言説を支配する時代に、肯定の思考をどう構想するかという問いの古典的地図として、本書はなお有効である。

著者

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