
ラルフ・ウォルドー・エマーソン
Ralph Waldo Emerson
1803年 — 1882年
自己信頼を説いたアメリカ超越主義の指導者
概要
「自分自身を信じよ」と説き、アメリカ精神の独立を宣言した超越主義の預言者的思想家。
【代表的な思想】
■ 自己信頼
社会的慣習・権威・他者の評価に盲従するのではなく、自分自身の内なる直観と声に従うことの重要性を力強く説いた。模倣は自殺であり、各人は自らの道を歩まなければならないとした。
■ オーバーソウル
自然の中に普遍的な精神(オーバーソウル)の現れを見出し、個人の魂と宇宙的な精神が根源において一体であると論じた。制度的宗教ではなく自然との直接的な霊的交わりに真理を求めた。
■ 自然と精神の照応
ユニテリアン派の牧師を辞して独自の思想を展開し、自然界のあらゆる事物が精神的真理の象徴であるとする照応の思想を説いた。
【特徴的な点】
カントやドイツ観念論、インド哲学の影響を受けつつ、ヨーロッパ哲学から独立したアメリカ固有の思想を打ち立てた。ソローやホイットマンの精神的師となり、ニーチェにも影響を与えた。
【現代との接点】
自己啓発思想の源流として広く影響を持ち、環境思想における自然への畏敬、個人の創造性と非同調主義の価値は現代のイノベーション文化や起業家精神にも通底している。
さらに深く
【生涯と作品】
ラルフ・ウォルドー・エマーソンは1803年、ボストンの牧師の家に生まれた。ハーヴァード大学を卒業後、ユニテリアン派の牧師となったが、教会の形式的な典礼に疑問を感じて辞職した。1836年の論文「自然」でアメリカ超越主義の宣言を行い、コンコード(マサチューセッツ州)を拠点に講演と執筆を続けた。ソロー、ホイットマン、オルコットらと交流し、アメリカの知的文化の形成に決定的な役割を果たした。
【自己信頼と超越主義】
エマーソンの思想の核心は「自己信頼(Self-Reliance)」である。社会の慣習、伝統、他者の評価に依存するのではなく、自分自身の内なる声に従うことの重要性を説いた。「模倣は自殺である」という言葉に象徴されるように、各人はかけがえのない個性を持っており、それを発揮することが生の使命である。自然界のあらゆる事物に宇宙的精神(オーバーソウル)の現れを見出す超越主義は、カント、ドイツ観念論、インドのヴェーダーンタ哲学の影響を受けつつ、アメリカ固有の文脈で独自に花開いたものである。
【さらに学ぶために】
エッセイ「自己信頼」と「自然」がエマーソンの思想に触れる最良の入口である。酒本雅之訳『自己信頼』(海と月社)が読みやすい邦訳である。
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