人
『人間とは何か』
にんげんとはなにか
マルティン・ブーバー·現代
対話的人間学を提示するブーバーの主著
哲学
この著作について
原題 Das Problem des Menschen(1948年)。マルティン・ブーバーが哲学的人間学の問題を体系的に論じた著作で、児島洋《こじまひろし》訳により1961年に理想社の実存主義叢書の一冊として刊行された。
【内容】
まず哲学的人間学の歴史を辿り、アリストテレス・アウグスティヌス・パスカルらの人間観を点検したうえで、近代以降の問題を集中的に論じる。フォイエルバッハによる人間学的転回、キルケゴールの単独者の思想、ハイデガーの現存在《げんそんざい》分析、シェーラーの哲学的人間学を順に批判的に検討し、それぞれの限界を指摘する。最終章でブーバー自身の立場が示される。人間は孤立した個でも集団に解消される類でもなく、我と汝の対話的関係において初めて人間となるという主張である。『我と汝』の存在論を人間学として展開した著作と位置づけられる。
【影響と意義】
戦後ドイツ語圏の哲学的人間学において、ガブリエル・マルセルやエマニュエル・レヴィナスとも共鳴する対話的思考の重要文献として読まれた。日本ではみすず書房『ブーバー著作集』にも別訳が収録され、教育学・宗教学にも影響を与えている。
【なぜ今読むか】
孤独と分断が深まる時代に、人間存在を関係から捉え直す視点は強い意義を持つ。実存主義と対話論を結ぶ要石として今も古びない。
著者
関連する哲学者と話してみる
