フェミニズム
性差別の解消と男女平等を目指す思想・運動
この思想とは
性別に基づく差別・抑圧を批判し、すべての人の平等と解放を目指す思想・社会運動。
【生まれた背景】
18世紀の啓蒙思想が普遍的人権を唱えながら女性を排除したことへの批判として出発。ウルストンクラフトの『女性の権利の擁護』(1792年)が先駆的著作。
【主張の内容】
第一波(19世紀後半〜20世紀初頭)は参政権獲得を中心とした法的平等の闘い。第二波(1960〜80年代)はボーヴォワールの「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」に象徴される性役割の社会的構築性の批判、家庭内労働・性的自己決定権・職場の平等を追求した。第三波(1990年代〜)は人種・階級・セクシュアリティの交差性(クレンショー)を重視し、一枚岩的な「女性」像を解体。バトラーはジェンダーのパフォーマティヴィティを論じた。
【日常での例】
「家事は女の仕事」という固定観念への疑問はフェミニズム的問題意識。
【批判と限界】
男性排除的との誤解、文化的多様性の中でのフェミニズムの普遍性への疑義がある。
さらに深く
【思想の深層】
フェミニズムは単一の思想ではなく、共通の問題意識(性差別の批判と平等の実現)を持ちながら多様な理論的・実践的潮流を含む。自由主義フェミニズム(ウルストンクラフト、ミル、フリーダン)は既存の自由主義的権利を女性にも拡張することを目指す。教育・職業・参政権の平等。ラディカル・フェミニズム(ファイアーストーン、マッキノン)は性差別の根源を家父長制の権力構造に見出し、私的領域での支配(性暴力・ポルノ)の政治的批判を展開した。マルクス主義フェミニズムは家事労働の無償性と資本主義的搾取の関係を問い、ケア労働の価値化を求めた。ポストモダン・フェミニズム(バトラー)は「女性」というカテゴリー自体の本質主義的構築を問い直し、ジェンダーのパフォーマティヴィティ(繰り返し演じることで生産される)を論じた。
【歴史的展開】
第一波(19世紀後半〜20世紀初頭)は参政権運動(サフラジェット)を中心とした。ボーヴォワール『第二の性』(1949年)が第二波の出発点となり、「女は女に生まれない」という洞察が性役割の社会的構築性を哲学的に論じた。第二波(1960〜80年代)は職場・家庭・性的自律を主題とした。第三波(1990年代〜)はベル・フックスらが人種・階級・セクシュアリティの交差性(インターセクショナリティ、クレンショー)を重視し、一枚岩の「女性」概念を解体した。
【現代社会との接点】
#MeToo運動は性暴力と権力の構造的関係を可視化し、フェミニズムを再びグローバルな対話の場に押し上げた。ケア労働(育児・介護)の社会的価値と賃金格差の問題、管理職比率の男女差、メディアでのジェンダー表象の問題が現代的課題として残る。
【さらに学ぶために】
ボーヴォワール『第二の性』(「第二の性」を原文で読み直す会訳、新潮文庫)は必読の古典。バトラー『ジェンダー・トラブル』(竹村和子訳、青土社)はポストモダン・フェミニズムの理論的核心。上野千鶴子『家父長制と資本制』(岩波書店)は日本語で読める優れた理論書。
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