理
『理性と実存』
りせいとじつぞん
ヤスパース·現代
キルケゴールとニーチェから実存哲学を立て直す連続講義
哲学
この著作について
カール・ヤスパースが1935年にオランダのフローニンゲン大学で行った5回の連続講義をまとめた著作。主著『哲学』(1932年、全3巻)の翌年に発表された、ヤスパース実存哲学の中心概念を最もコンパクトに要約したテキストである。
【内容】
全5章。まずキルケゴールとニーチェが、体系的理性から排除された「例外者」として19世紀哲学を破ったと位置づける。そこから理性と実存の関係を問い直し、理性は実存を秩序づけようとするが、実存はつねに理性の枠組みを超え出る「包括者(das Umgreifende)」へと開かれていると論じる。孤独、限界状況、他者との「実存的交わり(Kommunikation)」、超越との関係など、ヤスパース哲学の主要概念が短い紙幅のなかに凝縮されている。
【影響と意義】
ハイデガーの『存在と時間』とともに、ドイツ実存哲学を代表する入門テクストとして国際的に読まれた。カミュやサルトルに影響を与え、戦後日本でも実存主義受容の核の一冊となった。
【なぜ今読むか】
理性だけでは届かない「私」の層を言葉にしたいとき、体系を切り詰めた短い本書は最良の入口。ヤスパース全体に向かう前の見取り図としても有用である。
著者
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