法
『法哲学入門』
ほうてつがくにゅうもん
長尾龍一·現代
長尾龍一が自然法論と法実証主義の対立を軸に法哲学の基本問題を解説した入門書
哲学
この著作について
ケルゼン研究の第一人者として知られる法哲学者・長尾龍一《ながおりゅういち》が、法哲学の根本論点を日本の読者に向けて体系的に整理した定番の入門書。
【内容】
本書は「悪法もまた法か」という古くて新しい問いから議論を起こす。続いて、プラトンとアリストテレス、トマス・アクィナスの自然法論、ボダンとホッブズによる主権論、ベンサムとオースティンの命令説、ケルゼンの純粋法学、ハートの承認の規則、フラーの法の内在的道徳、ドゥオーキンの統合としての法、ロールズとノージックの正義論、さらには法多元主義やフェミニズム法学までが、論点ごとに整理されていく。あわせて、ナチス体制下の「合法的」悪法をめぐるラートブルフとハートの論争、戦後日本の憲法論など、歴史的・現実的な事例との接続も随所で図られる。
【影響と意義】
法学部における法哲学・法思想史の教科書として長く用いられ、法律家・裁判官・法学研究者の基礎教養を支えてきた。著者の『ケルゼンの立憲民主主義』『法哲学入門』などの一連の著作と合わせて、日本語圏の法哲学の標準を形成している。
【なぜ今読むか】
違憲審査、緊急事態法制、人権と安全保障の衝突、AIと法など、いまも「法とは何か」を問わずには進めない論点が続々と現れている。自分がニュースで見る法律の議論を、より深い枠組みで捉え直す基礎装備となる書物である。