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現代西洋

ロバート・ノージック

Robert Nozick

1938年2002年

最小国家を擁護したリバタリアンの哲学者

リバタリアニズム最小国家権利論
ノージック

この人物について

個人の権利と自由を最優先し、「最小国家」の正当性を哲学的に論証したリバタリアニズムの代表的理論家。

【代表的な思想】

■ 最小国家論

主著アナーキー・国家・ユートピアで、暴力・窃盗・詐欺からの保護という最小限の機能のみを持つ国家だけが道徳的に正当化されると論じた。再分配のための課税は強制労働に等しいとして福祉国家を批判した。

■ 権原理論

財の分配が正義にかなうかどうかは、最終的なパターン(平等など)ではなく、取得と移転の過程が正当であったかによって判断されるとした。ロールズの「格差原理」に対する最も強力な対案を提示した。

■ 経験機械

あらゆる快楽を完璧にシミュレートする機械に接続されたいかという思考実験を提示し、人間は快楽だけでなく現実の経験と真正な生を価値あるものとして求めることを示した。

【特徴的な点】

ロールズの正義論と対をなす形で出版され、リベラリズム対リバタリアニズムの論争を政治哲学の中心に据えた。後期には認識論や人生の意味について多方面にわたる探究を行い、初期の立場からの変化も見られた。

【現代との接点】

規制緩和、市場の自由、個人の権利と国家介入の適正範囲をめぐる現代の政治的議論において、ノージックの議論は自由主義的立場の哲学的基盤として参照され続けている。

さらに深く

【思想の形成】

ロバート・ノージック(1938〜2002)は、ブルックリンのロシア系ユダヤ人移民の家庭に生まれた。父は小さな工場を営み、少年期のノージックは社会主義青年同盟の討論のなかで左派として出発した。コロンビア大学で哲学を学びながら、ヘンペルとモルゲンベッサーの分析哲学的訓練を受け、ロックヒュームの政治哲学を精読するうちに自由主義的転回を経験した。プリンストン大学でヘンペルのもとに決定理論の博士論文を提出し、20代後半でハーバード大学に着任、ロールズの『正義論』の刊行と同時代にその応答として『アナーキー・国家・ユートピア』を書き上げた。後年は知識論、合理性、人生の意味へと関心を拡張し、単一の体系に固執しない哲学的遊歩者の姿勢を貫いた。

【思想的意義】

核心は、個人を手段ではなく目的として扱うべきだというカント的制約を、厳格な権利論の言語で貫徹した点にある。『アナーキー・国家・ユートピア』の第一部では、無政府状態から最小国家が不可視の手によって道徳的に正当な形で生じうることを論証し、アナーキズムに対する自由主義からの応答を試みた。第二部の権原理論《けんげんりろん》は、正義を最終配分のパターンではなく、取得・移転・矯正という過程の正当性に位置づけ、ロールズの格差原理やあらゆる再分配的配分原理に根本的な批判を加えた。思考実験の名手でもあり、経験機械の議論は人間が快楽の総和ではなく現実との接触そのものを欲することを示し、後期の考えることを考えるでは、哲学を説得ではなく理解の探究と再定義した。

【影響と継承】

ロールズ=ノージック論争は、20世紀後半の政治哲学の基本座標を定めた。G・A・コーエンはマルクス主義の側から権原理論の前提を内在的に解体し、トマス・ネーゲルは自由と平等の両立可能性を探る方向を示した。現代のリバタリアン、シリコンバレーのテック文化、ブロックチェーン文化、効果的利他主義のなかで、ノージックの概念装置は絶えず参照されている。

【さらに学ぶために】

ジョナサン・ウルフノージック:所有・正義・最小国家が日本語の入門として読みやすい。自由と公正の線引きを考えるとき、ノージックの議論は避けては通れない相手である。

主な思想

近い哲学者

対立する哲学者

影響を受けた人物

関連する問い

関連する著作

著作アナーキー・国家・ユートピア

最小国家をリバタリアンの立場から擁護した政治哲学の挑戦作

著作考えることを考える

知識・自由・自己・意味を横断する分析的形而上学の大著

著作ノージック:所有・正義・最小国家ジョナサン・ウルフ

ノージックのリバタリアニズムを解説した入門書

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