大
『大学』
だいがく
作者不詳·古代
朱子が四書に位置づけた儒教倫理政治の基本綱領
哲学宗教アジア
この著作について
元来は『礼記』の第42篇として伝わる小篇だが、南宋の朱熹が『中庸』『論語』『孟子』と並ぶ「四書」の一つとして独立させ、儒学入門の根本教材と定めた漢文古典。作者は伝承で孔子の孫・子思または曽子に帰される。
【内容】
本文は短く、「三綱領」(明徳を明らかにする・民を親愛にする・至善に止まる)と「八条目」(格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下)が簡潔に示される。自己修養から天下の統治までが連続的な階梯として構想され、個人の修身が国家の統治の根本であるという儒教的理想像が凝縮されている。朱子はこの『大学』を学問の門として最初に読むべき書と位置づけた。
【影響と意義】
東アジア儒学圏の千年にわたる基本教養となり、中国・朝鮮・日本の科挙および私塾教育の出発点をなした。日本では伊藤仁斎《いとうじんさい》・荻生徂徠《おぎゅうそらい》・中江藤樹《なかえとうじゅ》がそれぞれ独自の解釈を展開し、近世日本思想史の主戦場となった。
【なぜ今読むか】
自己修養と公的責任の関係を最も簡潔に提示した古典として、リーダーシップ論・組織倫理の古典的参照点となる。