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『おそれとおののき』
セーレン・キルケゴール·近代
アブラハムのイサク奉献を題材に信仰の不条理を問うたキルケゴールの初期主著
哲学宗教
この著作について
デンマークの思想家セーレン・キルケゴールが1843年にヨハネス・デ・シレンティオの仮名で公刊した著作。アブラハムのイサク奉献の物語を題材に、「信仰」とは何かを問うた実存主義的宗教哲学の出発点である。
【内容】
旧約『創世記』22章で、神の命令に従って一人息子イサクを生贄に捧げようとするアブラハム。倫理的には明白な殺人である行為が、信仰においては神への従順として称えられる。この「倫理的なものの目的論的停止」を粘り強く描き、普遍的倫理を超えて神と単独者の関係に身を投じる「信仰の騎士」の姿を描き出す。悲劇の英雄と信仰の騎士が並べて論じられ、後者の沈黙と不条理が強調される。キルケゴール自身の婚約破棄の苦悩が背景にあるとされる。
【影響と意義】
20世紀の実存哲学、カール・バルトの神学、さらにはサルトルやカミュの不条理哲学に深く影響を与えた。近代の合理主義的道徳観を前提とする倫理観を根底から揺さぶる試みとして読み継がれる。
【なぜ今読むか】
「正しさ」の基準が多重化する現代で、普遍的善悪を超える決断の重みを問う古典。
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