禅
『禅とは何か』
ぜんとはなにか
鈴木大拙《すずきだいせつ》·現代
禅の本質を西洋の読者に解説した鈴木大拙の古典的入門書
宗教哲学
この著作について
近代日本の大思想家・鈴木大拙《すずきだいせつ》が、禅の精神を日本語話者のためにまとめ直した講義体の名著。
【内容】
本書はまず、禅を生んだインドの仏教と中国の老荘思想の合流を辿る。続いて、達磨から六祖慧能《えのう》、馬祖道一《ばそどういつ》、臨済義玄《りんざいぎげん》、洞山《とうざん》・曹山《そうざん》、さらに日本の栄西《えいさい》・道元《どうげん》・白隠《はくいん》までの禅の歴史が素描される。そのうえで、坐禅の意義、公案《こうあん》の役割、「見性《けんしょう》」と「悟り」の経験の性格、日常と禅の不二性などが、大拙自身の体験と中国禅文献の引用を交えつつ説かれる。著者が繰り返し強調するのは、禅が哲学でも宗教的神秘主義でもなく、「人間の本性を直ちに見る」生の技法である、という点である。
【影響と意義】
大拙はコロンビア大学やヨーロッパ各地で講義し、ハイデガー、ユング、トマス・マートン、ジョン・ケージなどに大きな影響を与えたことで知られる。本書は日本語による禅入門の古典として、西田幾多郎《にしだきたろう》・鈴木俊隆《すずきしゅんりゅう》・仏教研究の英訳事業と並び、近代日本の禅思想を語るうえで不可欠の一冊となっている。
【なぜ今読むか】
マインドフルネスやウェルビーイングといった語彙に飽き足らず、もう一歩踏み込んで禅の骨格を知りたい人に、落ち着いて厚みのある手引きを与えてくれる。短くはないが、何度でも開ける書物である。
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