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政治論

せいじろん

バールーフ・スピノザ·近代

スピノザ晩年の未完の政治哲学・民主政を最善の国制として擁護

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哲学政治

この著作について

バールーフ・スピノザ(Baruch de Spinoza)が1676年から没年1677年にかけて書き進めた未完の遺稿(原題『Tractatus Politicus』)。先行する1670年の神学・政治論とは別個の、より純粋に政治哲学に特化した著作である。

【内容】

全11章。第1〜5章で人間本性と権利の一般理論を展開し、第6〜10章で君主政・貴族政を論じ、第11章で民主政を論じ始めた直後に未完のまま絶筆となった。ホッブズ社会契約論を批判的に受け継ぎつつ、自然権を各人の「力(potentia)」として捉え直し、国家の権利もまた個々人の力の合成としてのみ成立するとした。各政体を比較し、最も多くの人々の権利と力を結集しうる民主政を最善の国制として擁護する立場をとる。諸政体における権力分立、元老院・評議会の設計、徴税・軍務・宗教の位置づけなど、具体的な制度設計の提案も豊富に含む。

【影響と意義】

近代の共和主義的・民主主義的政治哲学の源流の一つであり、ルソーヘーゲルマルクス、アントニオ・ネグリ、エティエンヌ・バリバールらの共和主義再読によって繰り返し参照されてきた。近年はデモクラシー論・多数者の統治理論の古典的典拠として再注目されている。

【なぜ今読むか】

民主主義の危機が語られる時代に、民主政をなぜ最善とするかをゼロから問い直したスピノザの議論は、論争の起点として今なお鋭い。

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