哲
『哲学の貧困』
てつがくのひんこん
カール・マルクス·近代
プルードンを徹底批判しマルクス独自の歴史観を鮮明にした初期著作
哲学経済
この著作について
カール・マルクス(Karl Marx)が1847年にブリュッセルで刊行した論争的著作(原題『Misère de la philosophie』)。前年に発表されたピエール=ジョゼフ・プルードンの『貧困の哲学』に対する全面的な批判書として、若きマルクスが独自の唯物史観と方法論を初めて公にした画期的文書である。
【内容】
本書はフランス語で書かれており、プルードン経済学の用語を一つずつ批判的に検討する形式をとる。プルードンがヘーゲル弁証法を経済範疇に機械的に適用して「系列」として並べ替え、歴史抜きの永遠の経済範疇を構築している点を徹底批判し、経済範疇はあくまで歴史的に特定の社会関係の表現にすぎないことを論証する。価値論・分業・機械・競争・所有・ストライキ・土地所有・地代をめぐって、マルクスは後の『経済学批判要綱』『資本論』に直結する核心的論点をすでに明瞭に定式化している。労働組合への支持とストライキの歴史的意義の擁護は、本書の政治的ハイライトでもある。
【影響と意義】
本書は『ドイツ・イデオロギー』とともに、初期マルクスから『資本論』への理論的橋渡しをなす基礎文書である。レーニン、カウツキー、ローザ・ルクセンブルクら第二インターナショナルのマルクス主義理論家はもとより、アルチュセールの「認識論的切断」論、後のマルクス=エンゲルス全集研究における転換期の読解において、繰り返し参照されてきた。
【なぜ今読むか】
プラットフォーム労働・ギグ経済・AI自動化のもとで労働の意味が問い直される現代、その経済範疇がどのように歴史的産物かを見抜く訓練として、本書の批判精神は今なお有効である。
著者
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