現
『現象学』
げんしょうがく
木田元·現代
木田元が現象学の歴史と核心を概観した岩波新書の定番入門書
哲学
この著作について
戦後日本のハイデガー研究・現象学研究を代表する木田元《きだげん》が、現象学運動の誕生から展開までを概観した岩波新書の定番書。
【内容】
本書はまず、ブレンターノの「志向性」概念が若きフッサールに与えた刺激から説き起こされる。続いて『論理学研究』から『イデーン』への移行、後期フッサールの「生活世界」概念、ハイデガーによる存在論的転回、シェーラーの価値現象学、メルロ=ポンティの身体現象学、サルトルの実存現象学、レヴィナスの他者論へと、二十世紀を貫く現象学の流れが一本の糸としてたどられる。各哲学者が先行する現象学のどこに不満を抱き、何を受け継ぎ、何を変えたかに重点が置かれ、固有の思想というより「運動」として現象学が浮かび上がる。
【影響と意義】
岩波新書の哲学書として長く版を重ね、日本語で書かれた現象学運動史の決定版の一つとなっている。著者の『ハイデガーの思想』『反哲学史』と合わせて、戦後日本の現象学受容に大きな足跡を残した。
【なぜ今読むか】
「自分の経験から世界をどう語るか」という問いは、心理学・認知科学・AI研究にも通じる現代的な課題である。百年にわたる現象学の変遷を手短に俯瞰しておくことは、自分の思考の輪郭を鋭くしてくれる。