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『ハイデガーの思想』
はいでがーのしそう
木田元·現代
木田元によるハイデガー哲学の明快な日本語入門書
哲学
この著作について
戦後日本を代表するハイデガー研究者・木田元《きだげん》が、長年の読解と翻訳の経験を結集した哲学的評伝にして入門書。
【内容】
本書はハイデガーの思想を、フライブルク大学時代からマールブルク時代、『存在と時間』、後期の「転回」、フライブルクの森の中の山小屋「ヒュッテ」での思索、ナチス関与問題、戦後の技術論と芸術論へと生涯に沿って追いかける。その中で、「存在の問い」「現存在《げんそんざい》(ダーザイン)」「世界内存在」「被投性《ひとうせい》と企投」「死への存在」「本来性と非本来性」「気分」「手もとにあること」「技術の本質」といった主要概念が、アリストテレスやフッサール、キルケゴール、ニーチェとの関係のなかで位置づけ直されていく。木田自身が積み重ねた読解の道筋が一貫して貫かれており、概念解説だけでない哲学的物語として読める。
【影響と意義】
岩波新書・岩波現代文庫・講談社学術文庫などでロングセラーとなり、日本語で書かれた最も広く読まれたハイデガー入門の一つとなった。著者の『ハイデガー存在と時間の構築』と合わせて、戦後日本の現象学研究における大きな潮流を形づくっている。
【なぜ今読むか】
技術と消費に押し流されるなかで「存在することの意味」を立ち止まって問う機会は、現代人にこそ貴重である。ハイデガー本体へ踏み込む前に、その哲学の全体像を確かめ直す案内として頼れる一冊である。