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『あらぬものについて』
ゴルギアス·古代
ゴルギアスがパルメニデス存在論を逆用した三段否定論証
哲学存在論
この著作について
紀元前5世紀のソフィスト・ゴルギアスによる、修辞学を超えた哲学的著作である。原文は散逸し、セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁』および偽アリストテレス『メリッソス・クセノパネス・ゴルギアス論』の二つの伝承を通じて再構成される。パルメニデスの存在論を逆用しながら、存在論・認識論・言語論にわたる根底的懐疑を実演した、ソフィスト思想の頂点をなす作品である。
【内容】
ゴルギアスは三段の否定論証を組み立てる。第一に「何ものも存在しない」、第二に「もし存在しても認識し得ない」、第三に「もし認識し得ても他者に伝え得ない」というラディカルな帰結が論証される。第一段ではパルメニデスの「あるものはあり、あらぬものはあらぬ」という存在の一義性を背理法的に解体し、第二段では思考と存在の同一性を切断し、第三段では言語と思考のあいだに越え得ない断絶を見出す。修辞学的演示と哲学的論証が分かちがたく結びついた挑発的著作である。
【影響と意義】
プラトンが『ゴルギアス』『ソフィスト』で批判の対象としたソフィスト的相対主義の代表的事例として、古代から繰り返し論じられてきた。20世紀以降は懐疑主義・反基礎づけ主義・脱構築の先駆として再評価されている。
【なぜ今読むか】
存在・認識・言語という哲学の根本前提を疑う原点として、いまなお挑発的である。
著者
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