『マルクスを再読する:主要著作の現代的意義』
まるくすをさいどくする:しゅようちょさくのげんだいてきいぎ
的場昭弘·現代
〈帝国〉以後の時代を考えるため、ネグリやスピノザを押さえたうえでマルクスの主要著作を読み直す講義録
この著作について
マルクス研究者の的場昭弘《まとばあきひろ》が、マルクスの主要著作を読み解いた講義録。2017年3月にKADOKAWAの角川ソフィア文庫から刊行された(397頁)。2004年に五月書房から副題「〈帝国〉とどう闘うか」で出た本とは、第一部の三章と第二部の冒頭五章の題が共通する。文庫版まえがき、文庫版あとがき、佐藤優の解説を収める。
【内容】
問題意識は、資本主義国家が外部から収奪できなくなったとき資本主義はどうなるのか、という点にある。グローバリゼーションがもたらしたのは社会の上位均衡化ではなく中産階級の崩壊であり、下の方で貧しくなる下位均衡化だったと本書はみる。そこで〈帝国〉以後の時代を考えるために、資本主義後の世界を考えたマルクスを読み直す。第一部「現代思想と〈マルクス〉」はネグリの帝国論とその課題から入り、アルチュセール、スピノザの思想を押さえる。第二部「〈マルクス〉の著作を再読する」は『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』『哲学の貧困』『共産党宣言』、フランス三部作、『資本論』などを順に取り上げ、「社会運動とマルクス」と題した章で閉じる。主要著作は、代議制民主主義が世界に普及した現在において、あえて近代市民社会を批判するという視点から解題される。
【影響と意義】
角川ソフィア文庫の一冊で、全十三章からなる。第二部が『経済学・哲学草稿』から『資本論』までの主要著作を扱い、その前に現代思想の議論を置く第一部がある。
【なぜ今読むか】
中産階級の崩壊は、本書が現状認識として挙げる点である。出版社の紹介は、この読み解きが、資本主義が支配する世界以外を考えられない私たちの頭を解き放つとする。