哲
『哲学の原理としての自我について』
てつがくのげんりとしてのじがについて
F.W.J.シェリング(田村恭一訳)·近代
ドイツ観念論の出発点を画したシェリング処女作
哲学
この著作について
シェリング20歳の処女作で、ドイツ観念論の出発点を画した若書きの主著である。原題はVom Ich als Prinzip der Philosophie、原典は1795年に刊行された。邦訳は新装版シェリング著作集第1a巻『自我哲学』に田村恭一訳で収録されている(文屋秋栄《ぶんやしゅうえい》)。
【内容】
フィヒテの『全知識学の基礎』に強い影響を受けたシェリングは、本書において「絶対的自我」を哲学の最高原理として提示する。絶対的自我とはあらゆる存在を産み出す唯一永遠の実体であり、有限な経験的自我はこの絶対的自我の制限的現れにほかならない。スピノザの実体概念を自由の立場から読み直し、自然と精神を貫く根源的同一性を構想したこの論考は、後の自然哲学・同一哲学・自由論への萌芽をすべて含んでいる。批判哲学の枠組みを超えて、絶対者の哲学へと踏み出す瞬間が記録された書である。
【影響と意義】
本書はヘーゲル、ヘルダーリンらと共有された初期ドイツ観念論の知的興奮を伝え、フィヒテからシェリングへの哲学的系譜を理解するうえで欠かせない。シェリング思想の出発点を確認する鍵となる文献である。
【なぜ今読むか】
主観性の根源を徹底的に問う若々しい思索は、自己と世界の関係を問い直したい読者に新鮮な刺激を与える。
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