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厄介なる主体:政治的存在論の空虚な中心

やっかいなるしゅたい

スラヴォイ・ジジェク·現代

デカルト的主体を擁護する唯物論的政治存在論

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哲学現代思想精神分析

この著作について

スロヴェニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクが1999年に刊行したThe Ticklish Subject: The Absent Centre of Political Ontologyの邦訳である。鈴木俊弘・増田久美子の訳で青土社より上下巻として、上巻は2005年、下巻は2007年に出版された。

【内容】ポストモダニズムが葬り去ったとされるデカルト的主体という亡霊を、ラカン精神分析の立場から擁護する。ドイツ観念論(カントヘーゲルシェリング)、ハイデガー、バディウ、バトラー、ラクラウ、ランシエールなどポスト・アルチュセール派政治哲学までを横断的に論じ、主体の裂け目こそが政治的なものの場であると論じる。第三部ではアイデンティティ・ポリティクスや多文化主義に対する批判的考察も展開される。

【影響と意義】ジジェクの代表作の一つとされ、英語圏の現代思想・政治理論の議論を俯瞰しつつ、ヨーロッパ的観念論の伝統を現代的に蘇らせた仕事として高く評価されている。日本語圏でも左派理論・批評の領域で広く読まれる。

【なぜ今読むか】アイデンティティの細分化と承認の政治がもたらす疲弊が議論される現代において、主体の根源的な裂け目から政治を構想するジジェクの戦略は、別のルートを示唆する。難解だが、上下巻ゆえに腰を据えて読み進められる。

著者

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