声
『声と現象』
こえとげんしょう
ジャック・デリダ·現代
フッサール現象学を内部から脱構築したデリダ初期三部作の一つ
哲学
この著作について
ジャック・デリダが1967年に同時公刊した初期三部作『声と現象』『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』の一つ。エトムント・フッサールの『論理学研究』を題材に、西洋形而上学を貫く「声の特権(音声中心主義)」を脱構築した代表作である。
【内容】
西洋形而上学は声を、発話主体が自分自身の話す声を同時に聴くという「自己への現前」の最たる例とみなし、書き言葉・記号・差延に対して根源的特権を与えてきた。デリダはフッサールの記号論を内部から読み返し、意味は実は「独白的な声の自己同時性」によって支えられているのではなく、常にすでに反復可能性と差異によって分節されていると論証する。「差延(différance)」概念がここで初めて明確に提示される。
【影響と意義】
リクール、フーコー、ラカンらと並ぶ1960年代後半のフランス思想の頂点を示し、以後の脱構築運動の出発点となった。文学理論、法哲学、翻訳論、ポストコロニアル研究など人文諸学に広範な影響を与えている。
【なぜ今読むか】
音声AIと生成AIが「声」を再び特権化する現代、声の根源性を問い直すデリダの批判はむしろ新鮮な切れ味を見せる。
著者
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