連
『連帯と自由の哲学』
れんたいと じゆうの てつがく
リチャード・ローティ·現代
プラグマティスト的相対主義の立場から客観的真理の概念を退け、対話・連帯・民主主義の実践を道徳・政治哲学の基盤とする...
哲学
この著作について
ネオ・プラグマティストのリチャード・ローティが、真理と客観性をめぐる哲学の伝統的な野望を手放し、連帯と民主主義の実践へ視点を移した主要論集。
【内容】
ローティは本書全体を通じて、哲学を「自然を正確に映す鏡」として位置づける近代以来の自己像を退ける。それに代えて、共同体の会話を拡張し続けることで「われわれ」の範囲を広げる連帯(ソリダリティ)こそが哲学と政治の核であると主張する。プラグマティズムの系譜(ジェイムズ、デューイ)を踏まえながら、デリダ、フーコー、ハーバーマスと対話し、反表象主義、自然化された認識論、リベラリズムの非基礎付け主義的擁護、文化相対主義との区別、ヒューマニズム以後の民主主義観などが論じられる。「ユートピアとしての民主主義」という語り口が随所に現れる。
【影響と意義】
相対主義との批判を浴びつつも、人権・民主主義・リベラリズムを形而上学的基礎なしに擁護する道筋を示した点で、九十年代以降の政治哲学と倫理学に大きな影響を与えた。本書のローティは『偶然性・アイロニー・連帯』『哲学と自然の鏡』と併せ読むと、リベラル・アイロニストの像として結晶する。
【なぜ今読むか】
「真理」「客観」「正義」といった大きな言葉が政治的対立のなかで軽く使われ消費される時代に、形而上学に頼らずそれらを守る方法を粘り強く探る本書は、知的誠実さを鍛える伴侶となる。