朱
『朱子学』
しゅしがくにゅうもん
木下鉄矢·現代
朱子学の体系を解説した入門書
哲学入門
この著作について
中国思想史家・木下鉄矢《きのしたてつや》が、南宋の朱熹《しゅき》によって大成された朱子学の体系を一般読者向けに解説した入門書。
【内容】
本書はまず、北宋の周敦頤《しゅうとんい》、張載《ちょうさい》、程顥《ていこう》・程頤《ていい》ら先行思想家の議論を受け継ぎ、朱熹が作り上げた巨大な思想体系を整理する。理と気の二元論、太極、格物致知《かくぶつちち》、居敬窮理《きょけいきゅうり》、性即理、人心道心、四書の重視、読書と工夫の関係といった核心概念が順に解説される。続いて、朱子の主著『四書集注』『朱子語類』の役割、陸象山《りくしょうざん》との鵝湖《がこ》の会での論争、『近思録《きんしろく》』に結実する宋学の精神までが、見通しよく紹介される。訓読調の原典引用を工夫し、朱子の息づかいに触れられる点も特色である。
【影響と意義】
朱子学は元・明・清の科挙の基準となり、朝鮮王朝の正統思想となり、江戸期日本でも林羅山《はやしらざん》から伊藤仁斎《いとうじんさい》・荻生徂徠《おぎゅうそらい》の批判を通じて思想的土壌を形作った。東アジア近世の知的共通言語を理解するうえで、朱子学の把握は避けて通れない。
【なぜ今読むか】
日本・中国・韓国・ベトナムを貫く近世の知的共通言語を、自国語で筋道立てて学べる機会は限られている。東アジアの思想的基層を理解し直すのに最適な入門書である。