公
『公共哲学』
こうきょうてつがく
マイケル・サンデル·現代
コミュニティと個人の関係を論じたサンデルの政治哲学エッセイ集
哲学
この著作について
ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデルが長年発表してきた論考を集めた、共同体論の視点から現代政治を論じるエッセイ集。
【内容】
本書は四部構成をとる。第一部では市場がどこまで人間的価値を扱ってよいかが問われ、代理母・臓器売買・名誉や愛といった「値段をつけるべきでないもの」の線引きが論じられる。第二部では共同体と個人の関係が扱われ、ロールズ『正義論』が前提とする「負荷なき自己」という人間観が批判される。第三部は公民的共和主義の伝統とアメリカ民主主義の病理、第四部は中絶・同性婚・愛国心・宗教と政治といった具体的争点での哲学的応答が並ぶ。個々の章は雑誌や講演が出自だが、全体として「共通善をどう語るか」という一貫した主題が浮かぶ。
【影響と意義】
本書はサンデルが『これからの「正義」の話をしよう』で世界的人気を得る以前から、共同体主義者としての理論的立場を提示した重要な中間決算である。リベラリズム対コミュニタリアニズム論争の主要文献として、政治哲学と実践倫理の両面で参照され続けている。
【なぜ今読むか】
市場原理がますます生活に広がり、政治が対立と分断の言葉であふれる現代に、「公共の善」を語り直す語彙が必要になっている。サンデルの具体的で論争的な論じ方は、自分自身の政治的立場を点検する格好の鏡になる。