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根源的主体性の哲学

こんげんてきしゅたいせいのてつがく

西谷啓治·現代

西谷の前期主著、空の思想の出発点

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哲学京都学派宗教

この著作について

西谷啓治が一九四〇年に弘文堂から刊行した前期の主著。西田幾多郎《にしだきたろう》の絶対無《ぜったいむ》を継承しつつ、宗教・歴史・文化を貫く根源的な主体性の場所を問い直した、戦中期日本の哲学的達成のひとつである。

【内容】

本書は、近代の主観性概念が前提とする自我中心の立場を批判し、自我以前にひらける「場所」としての主体性を主題化する。シェリングの自由論、ニーチェの力への意志、エックハルトの神性論を主要な参照軸として、それらを西田哲学の枠組みのなかで再読し、有限な自我が無底へと開かれることで初めて宗教・歴史・文化の地平が立ち上がるという構図を提示する。続篇では、主体性のこの根源を踏まえて、世界史の意味と国家・民族の問題を論じている。

【影響と意義】

戦時下の困難な状況にあって、西田の絶対無《ぜったいむ》を独自の仕方で展開し、後年のニヒリズム宗教とは何かに至る西谷の思想全体の基盤を据えた著作である。京都学派と西洋神秘主義・実存哲学を結ぶ橋として、戦後日本の宗教哲学にも長く影響を与え続けてきた。

【なぜ今読むか】

自己や主体をめぐる議論が認知科学や情報技術の側からも問い直されるいま、西洋形而上学と東洋的無を結び合わせて主体性の根源を尋ねた本書は、別の地点から問題を考え直す手がかりとして示唆に富む。

著者

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