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力と交換様式

ちからとこうかんようしき

柄谷行人《からたにこうじん》·現代

柄谷行人が交換様式論で世界史を捉え直す晩年の大著

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哲学社会思想日本

この著作について

文学・思想史家の柄谷行人が2022年に公刊した大著。世界史の構造(2010)の理論的発展として、世界史を「交換様式」の交替として描き直し、さらに交換様式D(互酬制の高次回帰)の現実化を問う彼の理論的総決算である。

【内容】

人類史を四つの交換様式で分類する。A(互酬制:原始的贈与交換)、B(略奪と再分配:国家)、C(商品交換:資本主義)、D(Aの高次での回帰、未来の共産主義または宗教的共同性)。柄谷はDを単なる理念ではなく、預言者的宗教や社会運動のなかに具体的契機として現れる歴史的力として位置づける。フロイトの無意識、ベンヤミンの抑圧されたものの回帰、神の国思想などを通じて、Dの可能性を思索する。

【影響と意義】

戦後日本の思想家としては最も国際的に受容された柄谷の、30年にわたる理論的営為の集大成。日本近代文学の起源トランスクリティーク『世界史の構造』と並ぶ代表作。

【なぜ今読むか】

資本主義以後の社会を構想する上で、最も体系的な日本の思想的試みの最新形態として。気候危機と格差の同時進行が「別の社会」を真剣に考えるよう迫る時代にこそ、柄谷の遠望の射程が測られる。

著者

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