家
『家族・私有財産および国家の起源』
かぞく・しゆうざいさんおよびこっかのきげん
フリードリヒ・エンゲルス·近代
私有財産と家父長制家族・国家の発生をたどるマルクス主義人類学の古典
社会思想
この著作について
マルクスの死後、エンゲルスがモーガンの民族学的研究『古代社会』を下敷きに、未完のマルクスの草稿を引き継ぐ形で1884年に刊行した歴史唯物論の応用著作。
【内容】
本書はまず、氏族制社会における群婚・対偶婚から単婚家族への移行を跡づけ、女性の社会的地位の低下が私有財産制と並行して進んだと論じる。続いて、生産手段の私有化が階級分裂を生み、階級対立を調停する装置として国家が発生したという図式を展開する。アテネ・ローマ・ゲルマンの三類型を通じて、家族・財産・国家が分かちがたく結びついて成立してきた歴史が描かれる。母権制から父権制への転換、奴隷制と農奴制の位置づけ、一夫一婦婚が生み出した「売買婚」「姦通」という家族内の矛盾も論じられる。
【影響と意義】
二十世紀のマルクス主義フェミニズム(クララ・ツェトキン、シモーヌ・ド・ボーヴォワール)、家父長制批判、人類学の親族研究(レヴィ=ストロース)に直接の源流を提供した。
【なぜ今読むか】
結婚・家族・所有のかたちが再び問い直される現代、「自然に見える制度」が実は歴史的産物だと示す本書の視点は、なお鋭い。
著者
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