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増補 日蓮《にちれん》入門

にちれんにゅうもん

末木文美士·現代

日蓮の思想と生涯を解説した入門書

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宗教入門

この著作について

仏教思想史家・末木文美士《すえきふみひこ》が、鎌倉新仏教のなかでも特異な個性を放つ日蓮の生涯と思想を総合的に論じた入門書。

【内容】

本書はまず、安房《あわ》に生まれた日蓮が比叡山で修学し、題目「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を掲げて法華経への絶対的帰依を訴えた出発点を押さえる。続いて、他宗を「四箇格言」で激しく批判し、幕府に『立正安国論《りっしょうあんこくろん》』を上呈し、伊豆・佐渡への二度の流罪を経て、身延山で晩年を送るまでの生涯を辿る。観心本尊抄《かんじんほんぞんしょう》開目抄《かいもくしょう》など主要遺文の思想が、末法思想、本門と迹門、一念三千《いちねんさんぜん》といった天台教学の用語とともに解説される。増補版では、田中智学《たなかちがく》や宮沢賢治、戦後の創価学会に至る日蓮主義の近代的受容にも筆が及ぶ。

【影響と意義】

日蓮は宗教改革者として評価される一方、その排他性ゆえに批判も受けてきた。本書は宗派を超えた学問的視点から、日蓮思想の内在的論理と歴史的位置を公平に描き、近代ナショナリズム・宗教運動における彼の影響史も視野に収める。

【なぜ今読むか】

危機の時代に強い信念をもって声を上げる宗教的人物の姿は、現代の宗教政治や新興宗教を考える際にも示唆が大きい。賛否の強い思想家を冷静に読み解くレッスンとして適した一冊である。

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