開
『開目抄』
かいもくしょう
日蓮《にちれん》·中世
佐渡配流中に著した日蓮の思想的宣言書
宗教日本
この著作について
鎌倉中期の僧・日蓮が1272年、佐渡流罪中に著した遺著級の著作。日蓮の全著作のなかでも『観心本尊抄』と並ぶ双璧をなし、彼の思想的自己宣言が最も明確に示された書である。
【内容】
冒頭に「人々のあおぐ所は、主と師と親となり」と掲げ、全世界が帰依すべき主・師・親は法華経を説くブッダであり、それを伝えた開祖たる天台大師、さらに末法の世にそれを伝える日蓮自身であるとする自己位置づけを展開する。末法無戒の現代に法華経を捨てる者は必ず地獄に堕ちるとの厳しい宣告と、迫害を受けながらも法華経を広める行者こそが真の釈尊の弟子だとの確信が、激しい論難と詠嘆を交えて語られる。
【影響と意義】
日蓮宗系諸派(日蓮正宗・日蓮宗・創価学会・立正佼成会等)の根本聖典の一つとして近現代までも読み継がれる。近代では田中智学、石原莞爾の日蓮主義、高山樗牛、宮沢賢治の法華信仰にまで波及した。戦時下には北一輝の国家改造構想にも影を落とした。
【なぜ今読むか】
信念に殉じる宗教者の精神的強度を直接に感じ取れる中世日本思想の古典。時代の危機意識と宗教的確信の結びつきの様相を、鎌倉流刑地の洞穴に坐す筆者の声として体感できる。
著者
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