ク
『クーン―パラダイム』
野家啓一·現代
クーンのパラダイム論を解説した入門書
哲学入門
この著作について
科学哲学者・野家啓一《のえけいいち》が、二十世紀の科学観を塗り替えたトマス・クーンの思想を総合的に解説した入門書(現代思想の冒険者たちシリーズ)。
【内容】
本書は、パラダイム、通常科学、科学革命、通約不可能性(インコメンシュラビリティ)といったクーンの主要概念を、『コペルニクス革命』『科学革命の構造』『エッセンシャル・テンション』などに即して丁寧に解説する。天動説から地動説への転換、ニュートン力学から相対性理論への移行など実際の科学史の場面を参照しつつ、クーンが何を問題にし、何を覆したのかが明快に示される。ポパーとの論争、ラカトシュの「研究プログラム」、ファイヤーアーベントの相対主義との関係、SSK(科学知識社会学)への影響までが視野に収められる。
【影響と意義】
累積的進歩モデルを前提にしてきた従来の科学観を根底から揺さぶり、科学社会学、STS(科学技術社会論)、知識社会学の展開に決定的影響を与えた。相対主義批判への応答も紹介され、クーン思想の誤解を解く役割も果たしている。
【なぜ今読むか】
AIや気候変動などの研究で、何が「正しい科学」とされるかが繰り返し問われる現代に、科学がどう変わり、なぜ変わるかを原理的に考える道具を与えてくれる。科学と合理性の関係を再考するための出発点である。
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