カ
『カント入門』
かんとにゅうもん
石川文康·現代
カント哲学の全体像を平易に解説した入門書
哲学入門
この著作について
カント研究の第一人者・石川文康《いしかわふみやす》が、三批判書を貫くカント哲学の全体像を描いたちくま新書の定番入門書。
【内容】
本書はまず、『純粋理性批判』の骨格を丁寧に解説する。アプリオリな総合判断の問題、感性と悟性の区別、時間・空間の超越論的観念性、カテゴリー表、現象と物自体の区別、アンチノミーの四つの対立が順に整理される。続いて『実践理性批判』の道徳論、定言命法、人格と尊厳、自律の概念が扱われ、さらに『判断力批判』における美と崇高、自然の目的論、そして歴史哲学と『永遠平和のために』の構想までが、一本の線で結ばれる。カントの生涯と同時代の学問状況への目配りもある。
【影響と意義】
「難解なカント」を日本語読者に橋渡しする入門書として長く定評があり、大学の哲学科や教養課程で繰り返し参照されてきた。三批判書の体系の全景を短く見渡せるため、原典を単独で読む際のナビゲーションとしても有効である。
【なぜ今読むか】
AIやバイオ技術が人間の尊厳・自律・責任をめぐる古典的議論を次々と揺さぶる今、カント哲学はかえって新鮮に響く。原典に挑戦する前後の地図として手元に置きたい一冊である。