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意識と本質

いしきとほんしつ

井筒俊彦《いづつとしひこ》·現代

東西の哲学・神秘主義を横断する井筒俊彦《いづつとしひこ》の代表作

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哲学

この著作について

イスラーム哲学・東洋哲学・比較宗教を広く渉猟した井筒俊彦《いづつとしひこ》晩年の主著で、「本質」をめぐる東西哲学の横断的な思考の記録。

【内容】

本書の核心は、「本質」という語の周囲に集まる多様な思考形態を、地域や時代を越えて比較することにある。井筒はまず、プラトンアリストテレスの本質論、中世スコラ哲学のエッセンティアを手短に整理し、続いてイスラームのイブン・アラビーの存在一性論、スーフィズムの意識の層、老荘思想の「無」「道」、仏教の空、禅の「見性《けんしょう》」、日本歌論における本質的境地、さらにはラカンフロイトの無意識論までを往復する。すべてを包み込む体系の提示ではなく、深い層で共鳴する思考の交錯点を丁寧に描き出す手つきが特徴である。

【影響と意義】

比較哲学・比較宗教学の分野で国際的にも高く評価されており、著者のイスラーム哲学の原像コーランと合わせて、東洋と西洋を単なる対立として扱わない思想の姿勢を日本語圏に残した代表的仕事である。

【なぜ今読むか】

多文化共生や宗教対立が日常化する時代に、異なる思想伝統を「比べる」のではなく「響き合わせる」姿勢を学ぶことは貴重である。ゆっくり読めば読むほど、自分の「本質」概念そのものが揺らぎ、柔らかくなる読書体験を提供してくれる。

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