倫
『倫理学における形式主義と実質的価値倫理学』
りんりがくにおけるけいしきしゅぎとじっしつてきかちりんりがく
マックス・シェーラー·現代
現象学的方法で価値の序列を分析したシェーラーの倫理学主著
哲学
この著作について
ドイツの哲学者マックス・シェーラー(1874〜1928)が1913〜16年にフッサールの『哲学および現象学的研究年報』に発表した大著(独『Der Formalismus in der Ethik und die materiale Wertethik』)の邦訳。現代倫理学の主著の一つである。
【内容】
本書はカントの形式主義倫理学(定言命法)への根本的批判を出発点とする。シェーラーは現象学的方法によって価値そのものを直観的に把握できる対象として描き、感性的価値(快楽・苦痛)から生命価値、精神価値、聖なる価値に至る客観的な価値の序列を展開する。価値の担い手としての人格論、共同体と社会の現象学、愛と憎しみの分析、共感論など、後の倫理学・社会哲学・神学に多大な影響を残した諸論点が体系的に論じられる。
【影響と意義】
ハイデガー、ハルトマン、ヨハネ・パウロ二世(カロル・ヴォイティワ)、レヴィナスら多くの後続思想家がシェーラーの価値論を出発点として独自の倫理学・人格論を展開した。現代の徳倫理学・ケア倫理学・人格主義の系譜にも本書の遺産は流れ込んでいる。
【なぜ今読むか】
カントとアリストテレスのあいだに位置する第三の倫理学的選択肢を学ぶための、二十世紀の主要な体系的著作である。