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倫理学と哲学の限界

りんりがくと てつがくの げんかい

バーナード・ウィリアムズ·現代

功利主義と義務論への鋭い批判を展開しながら、倫理学が哲学的に答えられる問いの限界を探ったウィリアムズの主著

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哲学

この著作について

ケンブリッジの哲学者バーナード・ウィリアムズが、功利主義義務論の双方を退け、倫理学の射程と限界を冷静に見定めた主著。

【内容】

本書の出発点は古代ギリシアの「いかに生きるべきか」という問いである。ウィリアムズは現代倫理学が、この問いを「道徳」という狭い領域に切り詰め、抽象的な原則の適用問題に変えてしまったと論じる。功利主義が個人の「基幹的プロジェクト」や誠実さを道具にし、カント的義務論が動機と行為を過度に純化する点が、具体的事例の分析を通じて批判される。そのうえで、道徳的運、内在的理由、「厚い倫理的概念」、反省と知識の緊張、倫理的知の形而上学的基礎の不可能性、そしてそれでも我々が生を問い続けねばならないことが丁寧に語られる。

【影響と意義】

英米規範倫理学が功利主義と義務論の二項対立に傾きがちだった時代に、徳倫理学の復権、道徳的運論、ケアの倫理などの多声化を促した重要な一冊である。マクダウェル、ヌスバウム、アンネット・バイアーらの仕事と並び、アリストテレスへの現代的な回帰を牽引した。

【なぜ今読むか】

効率と義務に引き裂かれる生活のなかで、自分の人生の核をどう守るかという切実な問いに、本書は冷静な哲学の言葉を貸してくれる。「正しいルール」だけでは片づかない人生の現場に立ち帰るための、大人の倫理学である。

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