理
『理性の腐食』
りせいのふしょく
マックス・ホルクハイマー·現代
道具的理性への転落を診断したホルクハイマーの批判理論単独著作
哲学社会思想
この著作について
フランクフルト学派の理論家マックス・ホルクハイマーが1947年にニューヨークで英語で公刊した著作(原題『Eclipse of Reason』)。アドルノとの共著『啓蒙の弁証法』(1944私家版/1947公刊)と対をなす、ホルクハイマー単独名義の批判理論の代表作である。
【内容】
近代西洋が「客観的理性(真の善・正義・目的を認識する理性)」から「主観的・道具的理性(与えられた目的に最も効率よく到達する手段を計算する理性)」へと退化したと診断する。産業社会ではあらゆる価値が計算可能な効用に還元され、正義や人間性の問いは「意味のない疑似問題」として切り捨てられる。科学・技術・民主主義の勝利のなかで、かえって全体主義・大量文化・人間疎外が広がる逆説が描かれる。
【影響と意義】
『啓蒙の弁証法』の米国市場向け版とも言われ、戦後アメリカ知識人に大きな影響を与えた。ハーバーマス、ハーバート・マルクーゼ、マクロアーレント、現代のテクノクラート批判・計算的合理性批判の出発点の一つとなっている。
【なぜ今読むか】
AIと最適化アルゴリズムが全てを数値化する現代、理性の質を問う古典的警告として読む価値が増している。
著者
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