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童子問

どうじもん

伊藤仁斎《いとうじんさい》·近代

古義学の立場から『論語』『孟子』を平易に説き直した伊藤仁斎晩年の問答書

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哲学日本

この著作について

江戸前期の儒学者・伊藤仁斎が1691年に成稿し、1707年に刊行した問答形式の教訓書。朱子学を批判して論語孟子の本来の意味(古義)に立ち返る「古義学」の立場を、童子(若い弟子)との対話形式で平易に説いた、仁斎思想の実践的到達点である。

【内容】

上・中・下の三巻から成り、「仁とは何か」「道とは何か」「人情とは何か」「なぜ学ぶか」といった倫理的主題を、架空の童子の素朴な疑問に答える形で展開する。仁を「愛」と捉え、日常の人情を出発点とした実践倫理を説く立場が徹底されており、朱子学が重視する形而上学的理気論や厳しい自己修養論が、血の通った人間関係の倫理へと差し戻される。京都堀川の私塾「古義堂」での日々の講義の結晶。

【影響と意義】

息子・東涯を通じて古義学派を形成し、荻生徂徠《おぎゅうそらい》の古文辞学と並ぶ近世日本儒学の二大流派の礎となった。近代以降、丸山眞男《まるやままさお》が日本政治思想史研究で朱子学離脱と「近代的思惟」の萌芽として評価し直した。

【なぜ今読むか】

抽象的形而上学を嫌い、具体的な人情から倫理を築く思想として、AI時代の日常倫理論にも示唆的。

著者

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