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『なぜ神は人間となられたか』
なぜかみはにんげんとなられたか
アンセルムス·中世
受肉と贖罪の必然性を理性で論証したアンセルムスの代表作
宗教哲学
この著作について
カンタベリー大司教アンセルムスが1094〜98年にかけて執筆したキリスト教神学の重要著作。贖罪論を合理的論証によって説明しようとする試みとして、中世スコラ哲学の方法を神学の中心問題に適用した先駆的作品である。
【内容】
異教徒を想定した弟子ボソとの対話形式で、「キリスト教信仰を離れたとしても、理性のみによってキリストの受肉と十字架の必然性を示せるか」を問う。人間は神への無限の負債を犯したが、人間には返済能力がない。神のみが返済しうるが、負債を負うのは人間でなければならない。従って「神であり人である者」が人間として贖罪を遂行する以外に救いはない——この「充足論」は西方キリスト教の贖罪理解を以後数百年にわたり規定した。
【影響と意義】
スコラ哲学の「信仰と理性」モデルの代表例として、『プロスロギオン』の神存在論証と並ぶアンセルムス思想の二大柱をなす。トマス・アクィナスの『神学大全』をはじめ、中世以降の贖罪論議論の出発点となった。ルターもこの枠組みを継承しつつ改革した。
【なぜ今読むか】
信仰を理性で語りうるかという古典的問いを、最も純粋な形で提示する名著。
著者
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