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コモンウェルス

アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート·現代

〈帝国〉三部作の完結編・〈共〉にもとづく新たな政治構想

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哲学政治

この著作について

アントニオ・ネグリ(Antonio Negri)とマイケル・ハート(Michael Hardt)が2009年に刊行した政治哲学の共著(原題『Commonwealth』)。〈帝国〉(2000)、マルチチュード(2004)に続く〈帝国〉三部作の完結編であり、三作を通じて展開された新しい政治構想がここに集約される。

【内容】

本書の中心概念は「コモン(共)」である。著者らは、私有財産でも公的所有でもない〈共〉の領域こそが、認知資本主義において富を生み出し、また資本によって収奪される対象となっていると論じる。自然の共有財(水・大気・遺伝資源)と、知識・言語・コード・情感といった社会的コモンの二層が区別される。後者の拡大が現代資本主義の生産力の核であると同時に、〈帝国〉支配の焦点となる。スピノザ的な「愛」の政治哲学、ルソーマルクスフーコーの批判的継承を通じて、私と公の二項対立を超える〈共〉の政治が素描される。差異を保った連合、共同自治、革命的制度変革の具体的主題が論じられる。

【影響と意義】

コモンズ論、連帯経済論、デジタル・コモン運動、プラットフォーム協同組合論など、二十一世紀の社会運動と経済理論に広く参照されている。エリノア・オストロムのコモンズ研究と合流しつつ、より政治的・存在論的に〈共〉を鍛え直した試みとして位置づけられる。

【なぜ今読むか】

気候危機と格差の時代に、所有の枠組みを超える富と連帯の形式を語る共通語彙として、コモンウェルスの構想は現実的な再分配論と接続している。

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