シ
『シネマ』
ジル・ドゥルーズ·現代
運動イメージと時間イメージで映画史を読み解くドゥルーズの映画論
哲学芸術
この著作について
ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)が1983年と1985年に刊行した二巻本の映画論(原題『Cinéma 1: L'image-mouvement』『Cinéma 2: L'image-temps』)。ドゥルーズ後期の代表作であり、哲学書としても映画理論書としても読み継がれている。
【内容】
第一巻は、アンリ・ベルクソン『物質と記憶』の哲学を骨格として、初期映画から第二次大戦前までの古典的ハリウッド映画・フランス印象派・ソヴィエトモンタージュを「運動イメージ」の多様な変奏として読む。第二巻は戦後のイタリア・ネオレアリズモ、フランス・ヌーヴェルヴァーグ、オーソン・ウェルズ、アラン・レネ、小津安二郎らに現れる「時間イメージ」を分析する。登場人物が行動から切断され、純粋な視覚的・音響的状況に投げ出されるとき、映画は運動ではなく時間そのものを直接提示するとされる。C.S.パースの記号分類を援用した独自の分類体系が全巻を貫き、七十以上の監督と数百本の作品が具体的に論じられる。
【影響と意義】
本書はフィルムスタディーズと哲学の関係を根本から書き換え、D.N.ロドウィック、デイヴィッド・マーティン=ジョーンズ、パトリシア・ピスタースら現代映画理論家の基本文献となっている。『差異と反復』『意味の論理学』の存在論を具体的な文化形式で展開した応用篇としても読める。
【なぜ今読むか】
ストリーミング配信とショート動画が支配する現在、映像が時間をどう提示してきたかを根本から問い直すドゥルーズの視線は、リズムと持続への感受性を鍛え直す訓練になる。
著者
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