物
『物質と記憶』
ぶっしつときおく
アンリ・ベルクソン·近代
記憶と知覚の関係を脳科学と形而上学で統合したベルクソン第二の大著
哲学
この著作について
アンリ・ベルクソンが1896年に公刊した哲学書。『時間と自由』(1889)に続く第二の大著で、身体と精神の関係、記憶と知覚の区別をめぐる独創的な議論を展開し、20世紀の心身論・時間論を根本から書き換えた作品である。
【内容】
唯物論(心は脳の機能にすぎない)と観念論(物質は意識の構成物にすぎない)を共に退け、「イメージ」という中立的概念から出発する独自の認識論を提示する。知覚は身体が行為に向かうための選別作用であり、記憶は純粋持続として過去全体を保存する精神の働きだとする。有名な「円錐の図」では、過去の全体が現在の一点に向かって次第に収縮していく時間構造が視覚化される。失語症などの神経疾患の臨床事例を精密に分析することで、記憶は脳に局所化されないという命題を支える。
【影響と意義】
20世紀の哲学(ドゥルーズ『ベルクソニスム』の主対象)・精神病理学・認知科学・プルーストの文学にまで決定的に浸透。現代の脳神経科学と現象学の対話においても不可欠の参照点となっている。
【なぜ今読むか】
記憶と意識の関係を根源から問い直す現代的問題系の原点として読む価値が大きい。
著者
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