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ユークリッド「原論」とは何か

ゆーくりっどげんろんとはなにか

斎藤憲《さいとうけん》·現代

二千年読み継がれた数学の古典の成立と意義

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数学哲学入門

この著作について

古代ギリシア数学史の専門家・斎藤憲《さいとうけん》が、ユークリッド原論の成立事情と、後代に与えた影響を一般読者向けに解き明かした入門書。岩波書店の「書物誕生」シリーズの一冊として刊行された。

【内容】

本書はまず『原論』が何を目指して書かれた書物なのかを問い直す。著者ユークリッドの実像はほとんど知られていないが、紀元前三世紀のアレクサンドリアで前代までのギリシア数学の蓄積を整理した結果として『原論』が生まれた経緯を、現存の写本・パピルス資料・註釈の系譜を辿りながら描き出す。定義・公準・公理から命題を演繹していく公理的方法、平行線公準をめぐる古代以来の議論、第五巻の比例論や数論巻の構成など、各部の内容も丁寧に紹介される。

【影響と意義】

『原論』は二千年以上にわたって西欧の数学教育の基礎テキストとして機能し、近代に入っても論証の手本とされた。スピノザエチカの幾何学的方法、ニュートンプリンキピアの論証スタイルにもその影響は及んでいる。本書はその受容史を俯瞰する観点を提供する。

【なぜ今読むか】

非ユークリッド幾何学の成立や、二十世紀の公理論的数学の発展を視野に入れながら、改めて『原論』が示した論証様式の意義を考えるための見取り図を与えてくれる。数学を哲学的に読みたい読者にも、哲学を数学的に考えたい読者にも開かれている。

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