タ
『タオのプーさん』
ベンジャミン・ホフ·現代
「クマのプーさん」を題材に道家思想を解説した世界的ロングセラー
哲学文化・宗教
この著作について
アメリカの作家ベンジャミン・ホフ(1946〜)が1982年に刊行した『The Tao of Pooh』の邦訳。A.A.ミルンの「クマのプーさん」シリーズの登場人物に道家思想を読み込んだ独創的な解説書である。
【内容】
何も学ばないが直観で正解にたどり着くプーさん、悲観的に考えすぎて行動できないイーヨー、賢ぶってかえって本質を逃すフクロー、計画好きで仕切りたがるラビットなど、一冊絵本の登場人物を、道家思想の「無為」「素朴」「自然」「徳」を象徴する型として読み直す。プーさんの「何もしなさ」こそが老子の「無為自然《むいしぜん》」の体現であり、現代人が忘れた素朴な智慧の鏡だと論じる。難解な漢文古典には立ち入らず、誰にでも理解できる文体で『道徳経』『荘子』『列子』の核心的逸話を平易に伝える。
【影響と意義】
ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに連続49週掲載され、続編『The Te of Piglet』とともに、二十世紀後半に道家思想を西洋一般読者に開いた最も影響力のある一冊となった。フリッチョフ・カプラ『タオ自然学』と並び、ニューエイジ運動の文脈での東洋思想受容を象徴する書物としても位置づけられる。
【なぜ今読むか】
哲学書を読まずとも、子ども向けの絵本のキャラクターを通じて道家思想の核心に触れられる、最も親しみやすい入口である。