タ
『タオ自然学』
たおしぜんがく
フリッチョフ・カプラ·現代
道家思想と現代物理学の驚くべき対応を論じたカプラの刺激的著作
哲学
この著作について
理論物理学者フリッチョフ・カプラが、ヒッピー文化期のカリフォルニアで着想を温めて発表した越境的な著作で、現代物理学と東洋思想の意外な共鳴を論じた世界的ベストセラー。
【内容】
前半では、量子論・相対性理論・素粒子物理学の主要テーマが、専門用語を最小限に抑えた平明な言葉で紹介される。光の粒子と波の二重性、時空の相対性、場と粒子の区別の崩壊、観測者と対象の不可分性、動的プロセスとしての宇宙像などが並べられる。後半では、道家(タオ)の「道」、仏教の「空」「縁起《えんぎ》」、ヒンドゥー教の「ブラフマン」、禅の非二元性が取り上げられ、そうした東洋の形而上学が、二十世紀物理学が抱え込まざるをえなかった世界像と深く響き合うと論じられる。直接の因果関係ではなく、類比的な思考の並行性が、豊富な引用と図版で示される。
【影響と意義】
出版後、数十か国語に訳されて数百万部のロングセラーとなり、「ホリスティック・サイエンス」「システム思考」「エコロジー思想」の源流の一つとなった。後続の『タンハーラ』『ホロン革命』など、科学と神秘主義の対話を進める著作群の出発点でもある。
【なぜ今読むか】
AI、複雑系、気候危機と、分野横断の視点がますます必要になる時代に、まったく異なる文化・歴史のなかから生まれた知が共鳴するさまを追体験できる。科学と思想の越境的読書を始めたい人の入口となる一冊である。