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『イデオロギーの崇高な対象』
いでおろぎーのすうこうなたいしょう
スラヴォイ・ジジェク·現代
ラカン派精神分析とヘーゲルを接続したジジェクの国際的出世作
哲学政治
この著作について
スロヴェニア出身の哲学者スラヴォイ・ジジェクが1989年に英語で発表した国際的出世作。ラカン派精神分析とヘーゲル、マルクスを接続する独自のイデオロギー論を確立した。
【内容】
イデオロギーとは単なる虚偽意識ではなく、社会的現実そのものを構成する幻想的枠組みであるという命題を、ヒッチコック映画から反ユダヤ主義、スターリニズム、商品フェティシズムまで縦横に分析しながら論証する。「彼らはそれを知っているが、しかし行っている」というシニカル理性のもとでこそ、イデオロギーは最も強固に機能するという逆説を提示した。ラカンの〈対象a〉や〈実在界〉を政治理論へ接続する手法が確立される。
【影響と意義】
ポスト構造主義の袋小路を突破する新鮮さで注目を集め、以後30年にわたるジジェク現象の起点となった。現代のイデオロギー批判・大衆文化論・精神分析的政治理論に不可欠の参照点である。エルネスト・ラクラウ、シャンタル・ムフとの対話とも緊張関係を築きつつ、左派ポスト・マルクス主義の一翼を形成してきた。
【なぜ今読むか】
陰謀論・ポピュリズム・シニシズムが蔓延する現代政治を理解するための、強力な分析枠組みを提供する。